A2B マイクロホンモジュール

Quality Control of A2B Microphone Modules

車載用オーディオバスA2B (Automotive Audio Bus)は、アナログ・デバイセズ社が開発したデジタルネットワークテクノロジーです。車内すべてのオーディオ機器、コンポーネントを接続可能にします。A2Bの機能的な特長は、非シールドのツイストペア・ケーブル一本で接続できる点です。これによりケーブル、ケーブル・ハーネス重量が大幅に削減でき、配線の複雑から開放されます。2線式非シールド・ツイストペアを使用するA2Bインターフェースでは、電源供給、ネットワーク制御、さらに複数チャンネルの高品質な双方向デジタルオーディオ伝送が可能になります。

音声認識機能を採用するクルマが急増するとともに、A2BモジュールにMEMSマイクロホンアレイが内蔵されるようになりました。音声認識機能を正しく動作させるには、仕様で定められた絶対値だけでなく、アレイのすべてのマイクロホンどうしの相対値を検査することが重要です。 このページでは、A2Bマイクロホンモジュールと音響テストシステム間でどのようにインターフェースをとるか、また品質管理で重要なパラメータを生産工程でどのように測定するかについて説明します。

特長

  • A2Bマイクロホンモジュール測定
  • NTi Audioマイクロホン・テストソリューションへ容易に統合可能
  • マイクロホン単体測定だけでなくモジュールとしての特性評価が可能

A2Bマイクロホンモジュールのインターフェースについて

A2Bインターフェースは独自の規格を基に開発されています。オーディオデータにアクセスし、マイクロホンアレイを測定するには、例えばA2Bのデータストリームをデコードし、AES/EBUデジタルまたはアナログ信号にコンバートする機能が必要になります。(例えばデジタルMEMSマイクロホンの)デコードされたオーディオチャンネル信号がオーディオアナライザで測定できるようになります。これを可能にする機器の一つが、メンター・オートモーティブ社のA2Bアナライザです。A2Bアナライザはプログラムで制御でき、NTi Audioマイクロホンテストシステムに容易に統合できます。

オーディオ信号がオーディオアナライザにアクセス可能になると、デジタルMEMSマイクロホンアレイを測定できるようになります。

品質管理で要求される測定パラメータは、他の多くのマイクロホンのテストと同じです。一般的に感度、周波数レスポンス、歪み、SN比(SNR)が測定されます。研究開発などで詳しく特性を調べる場合には、入力換算雑音(EIN)やダイナミックレンジなどのパラメータが測定および計算されます。

デジタルMEMSマイクロホンで使われる単位は、アナログとは異なります。アナログマイクロホンの感度はmV/PaまたはdBV/Paで表されますが、デジタルマイクロホンではdBFS(デシベル・フルスケール)が使われます。デシベル・フルスケールは最大値を指し、94 dBSPL (1Pa)からデジタルマイクロホンの最大デジタル出力までがそのマイクロホンのヘッドルームになります。最大デジタル出力の値は、最大入力音圧レベル(AOP)と同じ意味で扱われます。

サウンドレベルとデジタルレベルの対比

複数のMEMSマイクロホンが内蔵されたA2Bモジュールの特性評価には、組み込まれたMEMSマイクロホンどうしの相対的な値が重要になります。これは、すべてのMEMSマイクロホンの感度の最大と最小の差としてパラメータ化されています。


デジタルMEMSマイクロホンの特徴

デジタルMEMSマイクロホンは、½サイクルPDMフォーマットでデータを伝送します。MEMSマイクロホンはCLK入力が必要とされ、DATAからデータを出力します。そして、二つのマイクロホンでひとつのデータラインを共有します。したがって、それぞれのマイクロホンは、右または左チャンネルに設定されます。この設定はL/R入力ピンがVddまたはグランドに接続されるかによって決まります。MEMSマイクロホンの多くは、1.8 Vまたは3.3 Vで動作します。

通常動作では、左のマイクロホンはクロック信号の各立ち上りエッジで、また右のマイクロホンは各立ち下りエッジでデータビットを書き込みます。片方のマイクロホンがデータを書き込んでいる間、 もう片方のマイクロホンはハイインピーダンスモードになり、DATA出力にデータを配置します。DSPではデータを受信し、右と左の二つの信号ストリームに分割します。

二つのデジタルMEMSマイクロホンによる通常動作

しかし、二つのマイクロホンのうち、ひとつが正しく組み込まれていないか動作していない場合はどうなるでしょう?

MEMSマイクロホンのひとつに不具合がある場合

図の例では右のマイクロホンが欠けており、左のマイクロホンだけがデータラインにデータビットを書き込んでいます。立ち下りエッジでは、左のマイクロホンがハイインピーダンスモードでデータラインを配置しています。そのため、データラインは前に左のマイクロホンにより書き込まれた同じ状態を保持します。その結果、受信しているDSPでは右のマイクロホンが左のマイクロホンと全く同じように見えます。この二つのデータストリームは全く一致しています。この問題はテストシステムで必ず見分けなければなりません。

NTi Audioが推奨するソリューション

ベーシックなA2Bマイクロホンモジュール用測定システムは、FX100オーディオアナライザ、Mentor A2Bアナライザ、A2B Service API、標準スピーカー、標準マイクロホンで構成されます。システムはPCソフトウェアでコントロールされます。

A2Bモジュールテストシステムの概観


FX100オーディオアナライザ

FX100は標準スピーカーへテスト信号を出力し、MEMSマイクロホンおよび標準マイクロホンから出力される信号を解析します。測定時間を短縮させたい、またはMEMSマイクロホンの数が多い場合は、チャンネルモジュールの増設や入力スイッチャーの追加で対応できます。


Mentor A2Bアナライザ

MEMS Mic Test Box

Mentor A2Bアナライザ

メンター・オートモーティブ社のA2Bアナライザは、A2Bバスに接続されている機器とのインターフェースを提供します。A2Bアナライザは、A2Bバスと接続されたバスノードを設定します。そして、NTi Audioマイクロホンテスト用ソフトウェアでコントロールできます。


標準スピーカー

標準スピーカーは、測定条件となる音圧レベルや周波数帯域を満たしている必要があります。また、不均一な音圧分布を避けるため同軸スピーカー(ポイントソース)の使用が推奨されます。


標準マイクロホン

標準マイクロホンは、標準スピーカーの周波数特性やドリフトを補正します。補正はスピーカーをイコライジングするか、差分として計算されます。


PCソフトウェア

A2Bマイクロホンモジュールの生産ライン(EOL)検査では、RT-Micマイクロホン測定用ソフトウェアの使用が理想的です。このソフトウェアは簡単に測定条件を設定でき、キャリブレーション、リファレンスデータの収集、リミット計算がワークフローとして組み込まれています。被測定マイクロホンは、設定された許容範囲に対して合否判定されます。

RT-MicFXマイクロホン測定用ソフトウェア


オプションとアクセサリ

環境センサーは、温湿度、大気圧を測定します。これらの値は測定データとともにデータログされます。

バーコードスキャナーは、被測定マイクロホンのシリアルナンバーの読み込みに使われます。ターンテーブルは、MEMSマイクロホン単体の指向性特性を測定する際に使われます。

導入効果

  • A2Bマイクロホンモジュールの側定系をシームレス化
  • 必要とされるあらゆる音響パラメータを高速かつ正確に測定可能
  • MEMSマイクロホン単体だけでなくモジュールとしての評価が可能
  • A2BモジュールのMEMSマイクロホン欠けを検出可能
  • 生産ライン(EOL)検査向けターンキーソリューション

オーダー情報

Flexus FX100 Audio Analyzer

A2Bマイクロホンモジュール・テストシステム

セット内容

  • Flexus FX100 オーディオアナライザ
  • Mentor A2B Analyzer / A2B Service API
  • 測定用マイクロホンM2010
  • RT-MicFXマイクロホン測定用ソフトウェア

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