A2Bインターフェースは独自の規格を基に開発されています。オーディオデータにアクセスし、マイクロホンアレイを測定するには、例えばA2Bのデータストリームをデコードし、AES/EBUデジタルまたはアナログ信号にコンバートする機能が必要になります。(例えばデジタルMEMSマイクロホンの)デコードされたオーディオチャンネル信号がオーディオアナライザで測定できるようになります。これを可能にする機器の一つが、メンター・オートモーティブ社のA2Bアナライザです。A2Bアナライザはプログラムで制御でき、NTi Audioマイクロホンテストシステムに容易に統合できます。
オーディオ信号がオーディオアナライザにアクセス可能になると、デジタルMEMSマイクロホンアレイを測定できるようになります。
品質管理で要求される測定パラメータは、他の多くのマイクロホンのテストと同じです。一般的に感度、周波数レスポンス、歪み、SN比(SNR)が測定されます。研究開発などで詳しく特性を調べる場合には、入力換算雑音(EIN)やダイナミックレンジなどのパラメータが測定および計算されます。
デジタルMEMSマイクロホンで使われる単位は、アナログとは異なります。アナログマイクロホンの感度はmV/PaまたはdBV/Paで表されますが、デジタルマイクロホンではdBFS(デシベル・フルスケール)が使われます。デシベル・フルスケールは最大値を指し、94 dBSPL (1Pa)からデジタルマイクロホンの最大デジタル出力までがそのマイクロホンのヘッドルームになります。最大デジタル出力の値は、最大入力音圧レベル(AOP)と同じ意味で扱われます。
サウンドレベルとデジタルレベルの対比
複数のMEMSマイクロホンが内蔵されたA2Bモジュールの特性評価には、組み込まれたMEMSマイクロホンどうしの相対的な値が重要になります。これは、すべてのMEMSマイクロホンの感度の最大と最小の差としてパラメータ化されています。
デジタルMEMSマイクロホンの特徴
デジタルMEMSマイクロホンは、½サイクルPDMフォーマットでデータを伝送します。MEMSマイクロホンはCLK入力が必要とされ、DATAからデータを出力します。そして、二つのマイクロホンでひとつのデータラインを共有します。したがって、それぞれのマイクロホンは、右または左チャンネルに設定されます。この設定はL/R入力ピンがVddまたはグランドに接続されるかによって決まります。MEMSマイクロホンの多くは、1.8 Vまたは3.3 Vで動作します。
通常動作では、左のマイクロホンはクロック信号の各立ち上りエッジで、また右のマイクロホンは各立ち下りエッジでデータビットを書き込みます。片方のマイクロホンがデータを書き込んでいる間、 もう片方のマイクロホンはハイインピーダンスモードになり、DATA出力にデータを配置します。DSPではデータを受信し、右と左の二つの信号ストリームに分割します。
二つのデジタルMEMSマイクロホンによる通常動作
しかし、二つのマイクロホンのうち、ひとつが正しく組み込まれていないか動作していない場合はどうなるでしょう?
MEMSマイクロホンのひとつに不具合がある場合
図の例では右のマイクロホンが欠けており、左のマイクロホンだけがデータラインにデータビットを書き込んでいます。立ち下りエッジでは、左のマイクロホンがハイインピーダンスモードでデータラインを配置しています。そのため、データラインは前に左のマイクロホンにより書き込まれた同じ状態を保持します。その結果、受信しているDSPでは右のマイクロホンが左のマイクロホンと全く同じように見えます。この二つのデータストリームは全く一致しています。この問題はテストシステムで必ず見分けなければなりません。