音声明瞭度 STI

XL2 STIPA Analyzer

公共の場、例えば教室、会議場、ショッピングセンター、スタジアム、駅、空港、コンサートホールなどでは、アナウンス放送が十分に理解されることが重要です。特に、非常時には明瞭な避難誘導のアナウンスが不可欠です。そのため、これらの場所で音声の明瞭度を確保するために、正確かつ再現性の高い方法での検証が必要です。

Speech Transmission Index(STI)は、放送メッセージの明瞭度を評価する際に最も確立された測定手法です。

特長

  • 音声明瞭度STIの解析
  • 容易な測定手順
  • 標準に準拠したレポート作成

音声明瞭度の単位と要素

音声明瞭度は、アナウンス放送システムから既知の信号(STIPAテスト信号)を出力し、各測定位置に到達した際の信号の変質度を測定することで評価します。 IEC 60268-16規格ではSTIに関して、信号レベルがどの程度劣化するのかを測定し、明瞭度の値として0(悪い)から1(非常に良い)の範囲で表します。測定単位は、STI (Speech Transmission Index)またはCIS (Common Intelligibility Scale)が使用されます。


音声明瞭度に影響を与える要因

  • 音圧レベル: 適切な音量が求められますが、大きすぎても小さすぎても良くありません。
  • 周囲騒音レベル: 人が多い場所や交通量の多い場所など、周囲の騒音が音の聞こえやすさに影響します。
  • 残響時間: 適度な反響は音の明瞭度に寄与しますが、過度な反響は逆効果です。
  • PAシステムの周波数レスポンス: 特に低音が過剰な場合など、PAシステム自体の音質設定が重要です。
  • SN比 (Signal-to-Noise Ratio): 放送設備の性能や信号のクリアさが、音の聞こえやすさに直接影響します。

STIPAテスト信号

STIPAテスト信号は、オクターブバンド125 Hz から8 kHzのピンクノイズを正弦波で変調しています。変調帯域幅により音の強度を変化させることで、人の声を模擬しています。STIPAテスト信号は、変調されたピンクノイズのため、人の声のようには聞こえません。

室内にオーディオシステムがない場合

教室などにオーディオシステムがない場合や、PAシステムがない学校では、教師の声を代わりにするために、教壇に設置するスピーカーが必要です。これには、IEC 60268-16規格で定められた、人の声と同じくらいの音の大きさ(60 dBA @ 1 m)を出す能力が求められます。

さらに、ITUT P.51規格では、広い範囲に声を届ける特性も重視されています。

これらの要件を満たすためには、スピーカーにテスト信号を内蔵したTalkbox音響信号発生器が最適です。
 


アナウンス用マイクロホンを使用するオーディオシステムの場合

アナウンス用マイクからPAシステムを通じて放送する場合、音声の明瞭度を測定するために特別な音響信号(STIPA)をマイクに送ります。このSTIPA信号はIEC 60268-16規格に準拠しており、人の声に近い音を再生するスピーカーが必要です。この方法では、アナウンスマイクの品質や周囲の環境など、すべての要素が明瞭度の正確な測定に影響します。

スピーカーとテスト信号が内蔵されたTalkbox音響信号発生器 は、この用途の要件を満たしています。


Minirator MR-PRO

アナウンス用マイクロホンを使用しないオーディオシステムの場合

アナウンス用マイクを使わずに、事前に録音されたアナウンスを再生するオーディオシステムでは、PAシステムにSTIPAテスト信号を外部から供給する必要があります。そのためには、任意の音量で連続してSTIPAテスト信号を生成できる信号発生器が必要です。

MR-PROオーディオ信号発生器は、この用途の要件を満たしています。
 


XL2 Sound Level Meter

STI測定

音響的なSTIPAテスト信号を評価する場合、STIアナライザが必要です。特に、ハンドヘルドまたはポータブルタイプのSTIアナライザがお勧めです。なぜなら、一つの部屋のSTIを評価するには通常、複数の位置で数回15秒間の測定が必要となるからです。

複数回の測定データを平均化し、必要に応じて周囲の騒音による補正を行います。これにより、迅速に数値を確認し、室内の音環境を改善した後に再度測定することができます。

XL3およびXL2は、この用途の要件を満たしています。

STI レポーティングツール

STI評価の最終的な業務が下記の規格に準拠した測定レポート作成です。

  • AS 1670.4
  • CEN/TS 54-32:2015
  • DIN EN 50849:2017
  • IEC 60268-16
  • ISO 7240-19:2007
  • VDE V 0833-4-32:2016
  • VDE 0828-1:2017-11

測定レポートの作成と、周囲騒音がSTI値へ与える影響を計算するツールがあれば、この最終業務ができます。

STI-Messbericht

この用途のためにSTIレポーティングツール が用意されています。

システム必要条件:
  • PC Windows XP, 7, 8, 10
  • Excel 2010, 2013, 2016(32ビットまたは64ビット)

4 音声明瞭度の測定手順

  1. 1.
    測定場所に人が大勢いる状態で騒音を記録します。
    XL2 STIPA background measurement
  2. 2.
    測定場所に人がいない状態(例えば夜間)、TalkBoxを話者が使用するマイクロホンの前に設置します。
    TalkBox with announcement microphone
  3. 3.
    XL2または、XL3のスタートボタンを押してSTIを測定します。
    XL2 STIPA measurement
  4. 4.
    レポートを作成します。
    STIPA Report with your logo

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音声明瞭度の最適化

最も良好な音声明瞭度は、70~80dBSPLで得られます。音圧レベ ルが高すぎると聴覚保護作用により明瞭度が低下します。例えば、ある室内で満点となる1.00 STIが、スピーカーレベル70 dBSPLで測定された場合、アナウンスレベルが90 dBSPLまで上がると、この満点をつけた明瞭度は0.9 STIに落ちます。

音声明瞭度測定を解説したウェビナー動画

本ウェビナーでは、音声明瞭度(STIPA)の測定方法とワークフローを解説し、レポート作成方法を紹介します。

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